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戦慄のノックアウト
2008/06/06 01:35

 プロボクシングの日本ウェルター級タイトルマッチが4月20日、宮崎県体育館で行われた。宮崎を拠点にしている王者・湯場にとって、今回の防衛戦は3年ぶりの凱旋試合。しかし、湯場にとっても地元ファンにとっても、決着は無惨なものになってしまった。

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3年ぶりの凱旋試合

 湯場忠志は、国内3階級制覇を史上最速(4年3ヶ月)で達成している。記録だけではない。18連続防衛のリック吉村を追い詰めた日本ライト級王座戦、15試合連続KOの牛若丸あきべぇを1ラウンドで沈めた日本ウェルター級王座戦など、数々の激闘はファンの記憶に強く残っている。強いだけではない。見てのとおりのイケメンで、華もある。そんな名王者が、地方のジムから登場しているのだから凄い。練習相手がいないなど、宮崎の環境は良くないから、湯場はタイや東京でも練習している。湯場は“宮崎を代表するアスリート”であり、“地元が誇るヒーロー”と言っていいだろう。
 一方の沼田康司は、日本タイトルに初めて挑戦する23歳のホープ。日本ウェルター級の1位にランクされている、最強の挑戦者だ。ここ2年間は4KOを含む6連勝と勢いがある。
 試合前の下馬評では、キャリアで上回る湯場優勢の声が多かった。一方で、不安材料として挙げられていたのが、湯場の脆さ。開始40秒で敗れた大曲輝斎戦や、逆に90秒で勝った牛若丸あきべぇ戦のように、湯場は序盤にダウンを奪われることがある。強打の沼田は序盤から倒しに来るだろうと予想された。
 今回のタイトルマッチは、湯場にとって3年ぶりのホームゲーム。湯場の勝利を見届けようと、地元ファンだけでなく、東国原知事や長峯都城市長、県議会議員、後援会会長といった来賓も会場に集まった。

湯場忠志(王者)
出身:宮崎県三股町(1977年1月19日生)
所属:都城レオスポーツ(宮崎県都城市)
デビュー:1996年4月14日(4R判定勝ち)
戦績:38戦32勝(23KO)4敗2分
タイトル:日本ライト級、日本スーパーライト級、日本ウェルター級(2回)、全日本スーパーライト級新人王
タイプ:長身のサウスポー

沼田康司(挑戦者)
出身:東京都(1984年5月11日生)
所属:トクホン真闘(東京都荒川区)
デビュー:2002年10月10日(4R判定勝ち)
戦績:16戦13勝(8KO)2敗1分
タイトル:B-tight(2006年)優勝
タイプ:右ファイター
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湯場忠志 vs 沼田康司

【1R】
 湯場が右で距離を計りながら、左のストレートを時折放つ。このストレートがよく伸びる。相手のガードに構わず、湯場はパンチを当てていく。右のフックが挑戦者の顔面を捉えると、場内がウワッと沸いた。挑戦者も左のフックをヒットさせる。
 このラウンドは湯場が優勢。前回の試合であったダウンもなく、いい出足だ。挑戦者は上体を揺り動かす変則的な動き。パンチは単発ながら、フックが時折当たっている。一発の威力はありそうだ。

【2R】
 湯場が上下に打ち分け、手数で押す。しかし、挑戦者の右フックでグラッとなる場面も。ここは相手に身体を預けて、上手く凌いだ。

【3R】
 このラウンドも湯場が優勢。しかし、それほど差はない。挑戦者はカウンターの右を狙っているように見えた。

【4R】
 湯場が左ストレートを当てていく。挑戦者は相変わらず、上体をスイングしながら機をうかがっている。
 決着の時は突然やって来た。挑戦者が湯場の左ストレートを交わし、右のストレートを放つ。これが湯場の顔面をきれいにとらえた。湯場が倒れる。あまりの鮮やかさに、どうして倒れたのか会場でははっきりわからなかった(VTRで確認)。湯場が立ち上がり、場内が騒然としたまま試合が続行される。
 勢いに乗った挑戦者は、激しくパンチを繰り出す。防戦一方の湯場は、ここで大きな過ちを犯す。相手の間合いで、バッティングをアピールしたのだ。挑戦者は構わず、パンチをぶち込んでいく。そして、湯場がコーナーに倒れ掛かるように2度目のダウン。レフェリーは……なぜか試合を止めない。湯場は明らかに様子がおかしく、試合を続けられそうにないのに。レフェリーもセコンドも、何か躊躇しているように見えた。レフェリーのストップと、タオルが投げ込まれたのはほぼ同時だっただろうか。嫌な数秒間だった。
 勝敗が決まると、異常を察した挑戦者サイドのセコンドも湯場のもとに駆け寄った。挑戦者が両腕を広げて勝利をアピールするそばで、湯場はセコンドやドクターたちに囲まれている。新王者に賞状とトロフィーが渡されるとき、湯場はタンカに載せられ、運ばれていった。場内は異様な雰囲気で、喜んでいるのが沼田の応援に来ていた人だとすぐわかる。バッドエンドにしても(KOの後は)投げやりな終わり方だから、自分はなかなか会場をあとにできなかった。

●湯場忠志(都城レオスポーツ) (4R 2分13秒 KO) 沼田康司(トクホン真闘)○
 ※湯場は3度目の防衛に失敗、沼田は初タイトル

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ぶち壊された前提

 湯場は顎をやられて、県病院に救急車で運ばれたと聞いた。歯は折れていたらしい。翌日の新聞には、走り込み不足など、満足のいく調整ができなかったと書かれていた。
 今回の興行は、地元だから当然なのだけど、王者が勝つことを前提にしたようなものだった。知事や市長が応援に来ていたし、ゲストは「世界を目指して」とエールを送っていた。地元のメディアやファンは、王者の勝利を見るために来ていたと思う。試合も湯場優勢で進んで、自分は判定で防衛するだろうと思っていた。
 そんな予測や前提が、ぶち壊されてしまった。交通事故のように、いきなりドカンと。とても衝撃的なもので、場内のショックは大きかった。挑戦者としては、してやったりだっただろう。挑戦者のトランクスをよく見てみると、こう書かれていた。「なにくそ」と。
 今回、ボクシングを初めて生で観て、いきなりボクシングの怖さを思い知らされてしまった。サッカーなら、たとえば残り1分で5点差もあれば、逆転されることはない。でも、ボクシングはどんな大差でも、1秒でも残っていれば逆転はできる。そうえいば、ゲストの具志堅氏が言っていた。「ボクシングは何が起こるかわからない」と。今回の試合は敗者のダメージが深く、勝者とのコントラストも大きかった。あまりにもインパクトの大きい試合だった。
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