照屋の宮崎スポーツblog(略称:てるスポ)



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誰の応援が欲しいのか?
2015/05/13 23:29

 九州サッカーリーグに所属している宮崎県の2チーム、しかもJリーグ入りを目指すチーム同士の初めての公式試合が、5月10日に宮崎県総合運動公園サッカー場で行われた。会場には800人以上の観衆が集まり、テレビ3局や知事も訪れるなか、ピッチ上では両チームが劇的かつ白熱した試合を見せて、会場を大いに盛り上げた。上々の初対決だったと言える。
 しかし、ピッチ外には、Jリーグを目指すクラブには似つかわしくない光景があった。それに、自分は強い違和感をおぼえたのだった。
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観衆800人のカラクリ

 800人という数字は「少なくとも800人はいる」というもので、「800人までは数えた」と関係者から聞いた。もしかしたら、1000人はいたのかもしれない。これは、JFLのホンダロックSCの数字を大きく上回っている。
 しかし、手放しで喜べるものではない。今回に関しては、隣で開催されていた高校サッカーの影響が大きかったと自分は考えている(MRT招待高校野球は無関係。プロ野球のスカウトたちが集結するほどの試合だったけれど)。
 まず、サッカー場の北隣で高校の県リーグ(?)が行われていた。ここから来た人もいただろう。そして、南隣のラグビー場で開催されていたのがプリンスリーグ九州の2試合。11時から鵬翔高校、九州リーグと並行する時間に日章学園高校の試合というスケジュールだった。この鵬翔の試合後に、ごっそり人が流れてきたのだ。
 もし、高校の試合がなかったら、観客の入りは半分だったかもしれない。


J指向クラブなのに動員された学生が応援する奇妙さ

 Jリーグのチームには、声を出して応援するサポーターたちがいる。Jリーグを目指すチームや企業チームにもサポーターはいて、彼らはピッチ上の選手を鼓舞するだけでなく、場内の雰囲気作りにも一役買ってくれていたりする。
 では、宮崎県の2クラブはどうなのか? 今回、自分がとても気にしていたことだ。
 J.FC MIYAZAKIには大勢の応援団がいた。その内訳は宮崎産業経営大学のサッカー部員(JFCのベンチ外選手もいたかも。試合前には玉拾いをしていた)、鵬翔高校のサッカー部員、セントラルFC(中学以下)のサッカー部員である。彼らが、学生式の応援をしていた。
 さて。「え!?」と思われた方はいるだろうか。よく考えてほしい。J.FC MIYAZAKIはJリーグ入りを目指しているのである。Jリーグに入るということは、“プロの市民クラブになる”ということである。では、どうして学生が応援しているのだろうか? JFCは学生のチームではないのだ。自分の違和感とは、これである。

自由意思による市民の応援

 企業チームなら社員(と家族)が、学生チームなら生徒(と家族)が応援するのは当然である。具体例を挙げると、ホンダロックSCの一番のサポーターは“ホンダロックの社員”だ。
 では、市民クラブはどうか? それは宮崎県民や宮崎市民、宮崎県の出身者など、宮崎にゆかりのある人たちである。世代や職業、所属している団体などは一切問わない。つまり、“しがらみはない”のだ。しがらみのない人たちが、サッカーを通じてひとつになれるはずなのだ。
 もう一つ大事なのは、応援するしないは自由ということ。誰かに強制されるものではない。遠いアウェーまで時間とお金をかけて応援に行くのも、その人の意思によるもののはず。自分は7年前、エストレーラ宮崎FCの各県決勝のために佐賀に行った。1泊2日で。これは、自分の意思である。クラブの運命を見届ける、という強い思いがあった(結果は最悪)。
 しかし、JFCは、下部組織ではないのに結びつきはあるサッカー部員たちを動員したのである。これは、自分の考える“市民クラブのサポーター”の姿とはかけ離れたものだ。

育つ余地がない

 会場にいた日章OBが口にした。「あれじゃあ、日章とか日大とかは入れないですよね」と。確かにそうだ。
 たとえば、もし、JFCと縁もゆかりもない人が「このチームを応援しよう」「声を出して応援しよう」と思い立ったら、どうすればいいのだろうか。学生たちに混ぜてもらうのだろうか? いや、キツイだろう。では、「仲間を集めて、サポートチームを結成して応援しよう」となったら? いや、すでに応援団がいるのだから、無理だろう。
 つまり、JFCがやっていることは、コアなサポーターや集団が育つ余地を消しているということだ。JFCは、来年も再来年も、JFLやJリーグに行くことがあっても、学生の応援でいいと思っているのだろうか?

「失敗する」と言う理由

 JFCが発足したときから、そのビジョンや手法に自分は疑問を感じつづけている。プロの市民クラブを作り、育てることに対して“勘違いしています感”がヒシヒシと伝わってくるのだ。マネジメントやマーケティングというものを、いったいどれだけ理解しているのだろうか。
 だから、機会があるたびに、自分は言いつづけているのである。「失敗するよね」と。


では、テゲバジャーロは?

 テゲバジャーロの応援はどうだったか? 太鼓を叩く人がいて、下部組織の子供たちがそれに合わせて「テゲ〜、バ、ジャ〜ロ!」と声を出しつづけていた。後半になると、エイサーに参加した子供たちが太鼓を叩きながら加わったという感じだ。
 聞いた話によると、この太鼓を叩いていた人にとっては初めての応援だったらしい。バリエーションなんてものはなく、応援はひたすら、「テゲ〜、バ、ジャ〜ロ!」だけ。どんな場面だろうが、これが読経のようにつづいていた。
 正直に言ってしまうと、「これからもこの調子だとなぁ……」である。1週間前に、JFLの会場で奈良クラブの応援を観てしまった自分は、そう感じてしまうのだ。
 「原初的な応援だったな」。自分はこう言うしかない。だから現状、テゲバジャーロの応援というのは、まだまだ他のJ指向クラブには及んでいない。ここからの発展に期待したい。
 ちなみに、声を出していないファンの人たちは結構いた。JFCも、おそろいのタオルを持っている人たちがいた。

自分の知るお手本

 自分の知っている人は、試行錯誤や研究を重ねて、応援を磨いていた。選手ごとに応援歌を用意するとか、自腹でお手製の弾幕を作るとか。そして何より、(良い意味で)バカをやっていた。「○○の手を借りる」という考えは無かったと思う(仲間はときどきいた)。自分の声と音、姿で引っ張るという気概があった。自分は彼を見て、サポーターというものを学んだ。
 自分が、これまでの人生で一番サッカーを楽しんだ、2007年のお話である。あのままクラブが上手く行って、応援の輪も広がっていれば、どうなったのだろうか……。


運営について

 今回の試合は、テゲバジャーロのホームゲームとして開催された。前身であるMSU FCの試合はこじんまりとしたものだったから、クラブにとっては開催規模が一気にふくらんでしまった。だから、まだ追いついていない部分がいくつか見られた。

後半のある事件

 会場にいた人は憶えているはずだ。テゲバジャーロの応援がスピーカーを通じて流されたことに。伝え聞いた話によると、子供たちの応援を場内DJがマイクで拾ったらしい。
 自分はゴール裏で撮影していて、この瞬間、「何しやがってんだ!」と憤った。試合中に、試合の進行や案内に関わること以外にマイクを使うのはNGと認識しているからだ。1分ほどで済んだものの、そんなことをしようという思考が自分には理解できない。全体のアナウンスの仕方も含めて、JリーグやJFLを見て勉強すべきだと思った。

試合以外の工夫

 プロの試合はエンタテイメントだから、Jリーグの会場では試合時間(90分)以外でファンを楽しませようと、様々な工夫がされている。
 今回の試合では、みやざき犬のダンスやエイサーの演舞、知事の始球式、選手による試合後のふれあいサッカーということになる。将来的には、飲食やグッズの販売も充実させないといけない。テゲバジャーロという名前なのだから、農業とのタイアップがあってもいいと思う。

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