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| まさかの大苦戦 |
第87回天皇杯全日本サッカー選手権の2回戦が9月24日、生目の杜運動公園陸上競技場で行われた。これが初戦のホンダロックSC(宮崎)は、近畿大学附属和歌山高校(和歌山)を迎え撃った。1回戦でFCセントラル中国(島根)に勝ったとはいえ、相手は高校生。ロックがKyuリーグ首位の力を見せつけるだろう……と思っていたら、まさかの大苦戦を強いられてしまった。
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 両チームのメンバー
ホンダロックSCは3年連続同一カードとなった県予選決勝で宮崎産業経営大学に勝ち、2年ぶりの出場を決めた。今回のスタメンは、6週間前にあったKyuリーグのホーム最終戦とまったく同じだ。 近畿大学附属和歌山高校は今大会唯一の高校生チーム(2種は大分トリニータユースも出場している)。今年は全国高校総体にも出場していて(初戦敗退)、近畿総体ではベスト4に入っている。天皇杯は関西2部リーグの紀北蹴球団に勝ち、代表の座をつかんだ。そして、1週間前の1回戦で、中国リーグ2位のFCセントラル中国(島根)を5-2で降した。この試合では4バックが速いプレッシャーをかけて決定機を封じ、豊富な運動量を活かして終盤に得点を重ねている。要注意人物はハットトリックの宮本。2得点の薮本はベンチスタートだった。 自分の予想は「ロックの楽勝」。1回戦については、「セントラルがだらしなかったんだべ?」と。ロックがKyuリーグ首位の力を見せつけてくれることを期待した。ただ、近大和歌山はどういうチームかわからないという不気味さはあった。それでも、「ロックが勝つだろう」と。「JFLを目指すチームが負けたらやべぇだろ」と…。近大和歌山が豪栄道なら、ロックは白鵬だった。 天気は晴れ。気温は29.6度。ピッチ状態は良好で、東からの風が強かった。観客数は1219人。芝生席も開放したのは、1年前のロッソ熊本戦(JFL)以来だ。
【ホンダロックSC(赤)】 Syetem:4-4-2 GK:川島正士(1) DF:白川伸也(8)、谷口研二(4)、澤村憲司(2)、浅田祐史(23) MF:山下優一郎(24)、南光太(6)、原田洋志(29)、前田悠佑(20) FW:木下健生(13)、大脇辰也(15) Sub:山田正吾(GK・16)、猿渡裕二(DF・27)、池田竜市(MF・14)、下木屋翔(MF・19)、水永翔馬(FW・10)
【近畿大学附属和歌山高校(白)】 Syetem:4-4-2 GK:辻柾次(1) DF:福井拓也(5)、岩橋香季(14)、徳田雄大(3)、須佐京平(2) MF:浦島彰洋(8)、尾崎聖(10)、大北啓介(6)、土屋翔平(7) FW:谷口友隆(9)、宮本宗弥(11) Sub:中島賢人(GK・12)、徳田圭弘(DF・4)、木村祥吾(MF・15)、西浦達朗(MF・17)、薮本竜弥(FW・16)

ホンダロックSC vs 近畿大学附属和歌山高校
【前半】 ロックが主導権を握り、近大和歌山エンドでゲームを展開する。しかし4分、近大和歌山が右クロスに頭で合わせる。ロックにとっては危ない場面だ。ロックは6分、CKが続くも押し込めない。10分、正面からのFKはバーの上。15分、左サイドでボールを受けた前田が、ドリブルからシュートを放つ。近大和歌山はサイドからの速攻で反撃する。ドリブルが速い。 22分、ロックの左CKが流れる。ロックはポゼッションで上回りながら、チャンスの形を作ることができない。23分、ロックのカウンターは最後が合わない。アタックゾーンでのプレーの精度が悪い。33分、前田から山下につないで、クロスを上げる。これが難しいボールで、木下のヘディングシュートはゴールを逸れる。 37分、ロックの絶好機。右サイドの縦パスを浅田がスルーすると、近大和歌山は意表を突かれて動きが止まってしまう。この隙に浅田が抜け出し、ゴールに向かってドリブル。しかし、シュートはサイドネットを揺らしてしまう。浅田は思いっきり悔しがった。この後もロックはシュートを放ち続けながら、無得点。前半は0-0で終わった。シュート数はロックが10本、近大和歌山が1本。
【後半】 ロックは大脇に代わり、水永が入る。立ち上がりからロックが攻める。南のシュートをキーパーが落とすも、詰めることができない。直後のCKは、頭で合わせるも枠の外。4分、水永が相手選手と競り合いながらシュートを放つ。これはキーパーに弾かれる。次のCKはキーパーチャージ。近大和歌山は鼻血などで2名がピッチ外に出る(すぐ戻った)。 ロックの攻撃はなかなか得点にならない。クロスを上げても、質が良くない。守備もDFがミスをして危なっかしい。そして、11分。近大和歌山が右サイドからのFKを得る。「こういう場面で入れられると、やばくなるんだよな」と思っていたら……ファーサイドから頭で合わされた。先制は近大和歌山。 ロックは15分、木下に代えて下木屋を投入。攻め続けるけど、相変わらずクロスや最後のパスの質が悪い。一方、近大和歌山は得点してから攻める場面が増えている。サイドからのドリブルによる速攻がロックを脅かしている。28分、再び近大和歌山の右FK。跳ね返りをシュートされるも、ロックは命拾い。 30分経過。ロックは波状攻撃を見せ、何度も何度もシュートを放つ。しかし、ゴールに叩き込むことができない。「ゴールにバリアでもできてるのか?」と思った。バリアをぶち抜いたのは34分。澤村のロングパスを受けた原田が、バイタルエリアから左足で決めた。場内が爆発的に盛り上がる。 36分、浅田と猿渡が交代。ロックは押せ押せで攻めまくる。38分、左クロスから落ちたボールを水永がシュート。40分、FKから前田のシュートはクロスバーにヒット。そして42分、ロックのCK。ファーサイドから谷口がダイビングヘッドで押し込み、ついに勝ち越す。さらに、ロスタイム。FKからキーパーが落としたボールを、水永が押し込んだ。結果は3-1でロックの逆転勝ち。シュート数は近大和歌山の6本に対し、ロックは20本だった。
ホンダロックSC(宮崎) 3 - 1 近畿大学附属和歌山高校(和歌山) (前半0-0、後半3-1)



監督の談話
試合後の福田監督のコメントは以下の通り。 「非常に苦しい試合でした。相手は高校生だけに走ってくると思っていましたけど、全員で攻めて、全員で守るというチーム。プレスが速いし、早いタイミングでボールを放ってくるのも嫌でした。中盤の起点を潰せなかったです。前半は早い時間に得点したかったんですけど、最初のチャンスをものにできなかった。ゴール前まで運ぶことはできるんですけど、フィニッシュの精度が悪かった。ミスがあったように選手も硬かったです。木下は最近、調子が良くない。大脇は悪くなかったけど、高さが欲しくて水永を入れました。水永が入ったことで、攻撃のバリエーションが増えました。水永にポストで預けて、サイドに散らしたりとか。あと、前半は原田と南の間隔が空いていて、そこをやられていたので、後半は原田を下がらせました。一番の課題はフィニッシュの精度ですね。今日は悪い点が出てしまった。前半、そして後半の立ち上がりで点を取らないと。1点を入れられるとモチベーションが落ちるので、とにかく先制点が欲しかった。今日は(失点してから)切り換えることができたし、時間はたっぷりあったので。3回戦ですけど、2週間あるので、今日の課題を修正して臨みたいです。ウチの持ち味であるサイド攻撃を活かして、セレッソさんに引けをとらないようにしたい」。
ボロボロの勝利
近大和歌山は手強い相手だった。福田監督が語るように運動量が豊富で、守るときは多人数でペナルティーエリアを固めて守っていた。相手がボールを持ったときの寄せも速い。攻撃は速いドリブラーが何人かいて、サイドから揺さぶってくる。これにロック守備陣は苦しめられた。近大和歌山は選手個人がよく鍛えられているし、勝つための戦術を持ち、そしてピッチの11人がそれを実行している。宮崎の高校より質が高いし、FCセントラル中国が負けたのもしょうがないと思う。 対するホンダロックSCは、悪いところばかりが出た。普段から課題に挙げられるフィニッシュの精度だけでなく、今回はラストパスやクロスの質も悪かった。動きが堅いからかミスが多く、トラップもおぼつかない。攻撃時のトラップミスはチャンスをフイにしていたし、守りのミスは即ピンチにつながりかねないものもあった。不甲斐ない内容で、自分は負けも覚悟したほどだった。 しかし、こんな苦しい内容でも勝つのが今年の良いところだ。先制されても気持ちを切り替え、攻め続けたことは後半30分からの波状攻撃につながっていった。そして、それが3得点を生んだ。この勝負強さは大事な場面で活きてくるだろう。
戦いは佳境に
Kyuリーグ優勝、天皇杯4回戦以上進出、全国社会人選手権優勝、そしてJFL返り咲き――これが、今年のホンダロックSCが掲げる目標だ。このすべてが、これから2ヶ月の間に決着する。 まずは、10月7日に天皇杯3回戦。ロックはJ2のセレッソ大阪と対戦する。セレッソは9月29日現在で5位につけていて、昇格争いに絡んでいる。この相手にいい試合ができれば、自信になりそうだ。勝てば、宮崎県勢初の“J越え”になる。 10月13日からは全国社会人選手権が開幕する。ロックと1回戦で当たるFC Mi-OびわこKusatsuは関西1部リーグ2位で、全社に向けた選手補強を行っている。FC岐阜の監督だった戸塚哲也氏もヘッドコーチとして加わっている。しかし、Kyuリーグ首位のロックが負ける相手ではないだろう。3回戦で当たるニューウェーブ北九州が壁になりそうだ。この大会は、地域決勝に向けた予行演習にもなる。 10月27日と28日は、Kyuリーグ最後の集中開催がある。まずは新日鐵大分に勝って2位以内を確定させ、それからV・ファーレン長崎に勝って優勝を決めたい。残るは11月下旬から始まる全国地域リーグ決勝大会だ。
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